従心会の会員の皆様、しばらくご無沙汰しておりますがご機嫌いかがでしょうか。
私は昨年春、緑内障の悪化で失明し、現在同行者の援護がなければ、病院通いや買い物、散歩など自由に出かけられない状態となっています。
そうした事情を昨年暮れ大谷会長らに手紙でお伝えしたところ、従心会の月報にいつでも掲載するから、自由に思うことを書いて送って欲しい、とのありがたい提案をいただきました。それで、これから暫く「盲人日記」という形で不規則な連載をさせて頂こうというふうに考えております。同じシニア世代の皆様の何かの参考になれば幸いです。
私の緑内障は 30 年来患ってきている糖尿病の余病ではありますが、これまで 10年以上血糖値のコントロールも良く、緑内障は初期症状のまま、これ以上悪化し失明する心配はまずないだろう、とかかりつけの眼科医にも言われておりました。
ところが 2020 年暮れに右目が突然見えなくなり、その 3 ヶ月後の 21 年 3 月には左目もほとんど失明するという状況に陥り、視覚障害者認定を受けたところです。
専門医によると、緑内障の悪化のバロメーターは眼圧であり、正常値が 20 以下なのに対し、23~29が黄色信号、30 以上が3ヶ月続くと確実に100%失明するとのことです。私の場合、20 年 12 月から 21 年春までの間に眼圧が 30~60 もあり、かかりつけの医者が慌てて東大病院に紹介状を書き、眼圧を強制的に下げるレーザー手術を 2回にわたって受けました。
後で分かったことですが、緑内障の直接の原因は脳内に血液を送り込む頸動脈 2本に異常があり、1 本は途中でちぎれそうになっており、もう1本は細く伸びたまま動脈としての機能をほとんど失っているということが判明しました。その結果、脳内の血液(酸素)が急速に減少し内側から視神経を破壊してしまったということが直接の原因とみられています。
脳内の血の巡りが悪くなると物忘れや勘違いがひどくなり、その症状が 72 歳ぐらいから出始め、家内は認知症が始まったのではないかと心配していましたが、医者の勧めで脳および循環器全体の精密検査をした結果、頸動脈の異常が 2020 年暮れに発見されたものです。脳外科医に「このまま放置しておくと早ければ半年、遅くとも4、5年以内には大きな脳梗塞あるいは脳内出血を起こして半身不随で寝たきりになるか、場合によっては死に至る危険性が極めて高い」と警告され、急いで頸動脈を広げるためのステント留置手術を受けることにしました。しかし異常の部位が手術しにくい場所にあたっていたため、検査入院を繰り返した後、昨年 6、7、8 の 3 ヶ月間に 3 回入院して、少しずつ手術していくという方式で行われました。手術は完全に成功。術後の経過も今日まで極めて順調で、担当した脳外科医も「これならあと 10 年は脳出血、脳梗塞の心配はないだろう」と保証してくれました。
ところがその間、脳内の血の巡りが悪くなった期間(おそらく 2020 年から 2021 年にかけて)に視神経を壊されてしまった というのが、緑内障を急速に悪化させた直接の原因だということが後で分かりました。
それまで 50 年以上にわたって本や文章を読み、書くという仕事を行ってきたわけですが、肝心の目が失われた結果、今では耳だけ(それも左耳は 10 年来難聴でほとんど聞こえず、右耳のみ)が頼りというふうになり、そのため自分の生活もあらゆる点で変更せざるを得なくなりました。つまり書斎に大量にある本は、ほとんど見えないので無用の長物ということになるため、とりあえず段ボールにどんどん詰め、空いたスペースは手持ちの CD 数百枚をジャンル別に並べて、それを次々に聞いていく、ということが主な日課に変わってしまいました。そういう変化で非常に落胆もしましたが、色んな発見もあり、それを次回以降思いつくままに紹介して皆さんの参考にしていただければいいのではないかと考えています。
私の脳内の異常がわかったのは 72 歳から 74 歳にかけてですが、同じシニア世代の会員の皆様にも物忘れや勘違いがひどくなってきた場合、ぜひ一度脳の精密検査を受け、それが脳内の異常から来るものでないかどうかを事前にチェックすることが極めて重要だろうと思います。私自身、もし発見があと丸 1 年以上早ければ手術を無事に終え、脳内から視神経を破壊されることもなく、今日でも読書や執筆ができたはずです。ところが以上記したように、脳梗塞という重大な危機は回避できたものの、一番敏感な視神経がまず侵されてしまうという事に気づかないまま今日に至った訳で、皆さんも是非そういう可能性もあることを考えて、メディカルチェックを慎重になさるのが良いのではないかという風に思います。以下、次号に続きます。
